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うつ病とアルコール

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さっぽろ麻生メンタルクリニック院長の長岡です。

 

うつ病の患者さんから「先生、うつ病の治療中にお酒は飲んでも大丈夫ですか?」と診療中に質問されることがあります。

基本的にはやはり、うつ病治療中にお酒を飲むことはよくありません。

その理由として、うつ病の患者さんの中には、「よく眠れないから」「嫌な気分を忘れられるから」「何も考えなくていいから」などとうつ病の辛さを紛らわすために飲酒することが少なくないからです。

実際にアルコール自体に抗不安効果があり、大脳に作用して深く考える機能を停止させ、不安や緊張を和らげ、多幸感をもたらすので、そのためにうつ病の患者さんにとって症状が緩和され楽になったと感じるのだと思います。

しかし、アルコールによって症状が緩和されても、それは一過性のものにすぎず、うつ病が根本的によくなっていることはありません。

また徐々に飲酒量や飲酒頻度が増え、アルコール依存症のリスクが高まってしまいます。

その他にもうつ病の治療で使用される抗うつ薬とアルコールの飲みあわせが悪いことも挙げられます。

またアルコールは睡眠の質にも悪影響を与えます。よく寝付きをよくするために飲酒するという人がいますが、これは大きな間違いです。

アルコールは寝付きをよくする作用はありますが、深い眠りに移行することを妨げ、睡眠の後半では眠りを浅くしてしまい、途中で目覚めてしまうことが多くなります。その結果、翌日になっても疲労がとれず、疲れやすい、何となくだるいなどの訴えが聞かれ、これらの訴えはうつ症状がよくなっていないと勘違いされ、治療に悪影響を及ぼします。

その他、アルコールには利尿作用があるため、夜間のトイレなどで目が覚めてしまい熟睡を妨げる要因にもなっていしまいます。

上記のようにうつ病の治療において、アルコールは阻害因子になっていしまいます。

うつ病は再発率も高い病気であることから、治療においては生活習慣にも気を付けることがたいせつです。

 

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